2026年4月 · メディア・視聴行動 · 12 min read
月曜から夜ふかし、次はどこでインタビューする?
14 years of street interviews mapped, analyzed, and predicted
月曜から夜ふかしを見ていると、あることに気づく。
街頭インタビューのロケ地に、パターンがある。渋谷に行けば若者の珍回答、新橋ならサラリーマンの愚痴、巣鴨ではおばあちゃんの名言。番組は「面白い人」を探しているが、その「探す場所」には明確な法則がありそうだ。
そこで、thetv.jpに掲載された放送データを収集し、399エピソード分のロケ地情報を抽出してみた。10年分の街頭インタビュー場所をすべて地図にプロットし、パターンを分析し、次のロケ地を予測する。果たして、夜ふかしに法則はあるのか?
399
エピソード
10年
データ期間
432
ロケ地言及
101
ユニーク地名
夜ふかしの地図
432のロケ地データを日本地図にプロットする
まず全体像を見てみよう。10年分のインタビュー場所をすべて地図に落としてみた。円の大きさは訪問回数を表している。
一目でわかること:東京都が圧倒的に多い。71回。次いで大阪府が24回、北海道が21回。この3地域だけで全体の27%を占める。しかし面白いのは、47都道府県のうち40以上にロケ地が分散していることだ。夜ふかしは「全国行脚番組」でもある。
取材回数
東京都内の街頭インタビューは渋谷(15回)、新宿(6回)、浅草(4回)に集中。都心の「人が集まる繁華街」が選ばれる傾向が明確に見える。一方、地方ロケは県庁所在地ではなく観光地が多い。
10年の軌跡
2016年から2026年までのロケ地パターンの変遷
ロケ地の選び方は、10年間で変化してきたのか?タイムライン形式で上位15地名の登場頻度を可視化した。横軸が時間、縦軸が場所、色の濃さが月ごとの登場回数を表す。
注目すべきは2020年のCOVID期間だ。2020年3月から2021年6月にかけて、東京都内のロケが急減。代わりに「リモート収録」や「地方ロケ」が増えた。2022年以降は東京回帰の傾向が見えるが、コロナ前ほどの集中度には戻っていない。地方分散が定着した可能性がある。
季節パターンも興味深い。夏(7-8月)は地方ロケが増える傾向がある。お盆の帰省シーズンに合わせた「ご当地インタビュー」が定番企画になっている。逆に冬(12-2月)は東京・大阪の屋内寄りロケが多い。
夜ふかし適性スコア
どんな街が「インタビューに選ばれやすい」のか
各ロケ地の人口統計データ(e-Stat国勢調査)を紐付けて、「夜ふかし適性スコア」を算出した。訪問回数、人口密度、平均年齢、昼夜間人口比、外国人比率、所得水準——これらの要素が「インタビュー場所としての選ばれやすさ」にどう影響するかを分析した。
結論から言うと、夜ふかしが好むのは「昼夜間人口比が高い繁華街」だ。渋谷(スコア54.1)は昼間人口が夜間の2.6倍。多くの人が集まるが住んでいるわけではない。これがインタビューに最適な条件を作る。
| # | Location | Visits | Ward | Score▼ | Avg Age | Daytime | Foreign % | Income |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 渋谷 | 15 | 渋谷区 | 54.1 | 43.5 | 2.6x | 5.2% | 736万 |
| 2 | 新宿 | 6 | 新宿区 | 41.7 | 43.2 | 2.3x | 10.4% | 501万 |
| 3 | 新宿歌舞伎町 | 5 | 新宿区 | 39.2 | 43.2 | 2.3x | 10.4% | 501万 |
| 4 | 浅草 | 4 | 台東区 | 32.1 | 45.8 | 1.7x | 7.1% | 462万 |
| 5 | 池袋 | 3 | 豊島区 | 31.1 | 43.8 | 1.7x | 7.6% | 448万 |
「インタビュー向きの街」の条件:(1) 人通りが多い(昼夜間人口比が高い)、(2) 多様な年齢層がいる、(3) 適度に「カオス」感がある(外国人比率・繁華街感)。渋谷・新宿・池袋はこの3条件を完璧に満たしている。
次はどこ?
過去のパターンから次回のロケ地を予測する
過去のデータから、各ロケ地の「ベース頻度」「季節調整」「リーセンシー(最近行ったかどうか)」を掛け合わせた予測モデルを構築した。計算式はシンプルだ:
予測モデル
score(場所, 月) = base_frequency × seasonal[月] × recency_factor
base_frequency = 過去の登場頻度 / 全エピソード数
seasonal = 月別の登場傾向(過去データから算出)
recency_factor = 直近に行った場所は確率が下がる(0.4〜1.0)
下のツールで月を選ぶと、その月に最も訪れる可能性が高いロケ地のランキングが表示される。直近に訪れた場所はスコアが下がる仕組みだ——番組は「同じ場所の連続」を避ける傾向があるためだ。
ロケ地予測ダッシュボード
※ これは過去の放送パターンに基づく予測であり、実際の放送内容を保証するものではありません。
予測精度には限界がある。番組の企画意図、ゲストの出身地、時事ネタなどのファクターはモデルに含まれていない。とはいえ、「東京都は毎月ほぼ確実」「夏は地方ロケが増える」「最近行った場所はしばらく行かない」という法則は、かなりの精度で再現できている。
わかったこと
10年分のデータが語る5つの法則
法則1
東京は「ホームグラウンド」
399エピソード中、東京都が登場したのは71回(17.8%)。約5回に1回は東京ロケ。中でも渋谷は15回で、都内最多のインタビュースポットだ。
法則2
「東京+地方」のセット構成
多くのエピソードは「東京の街頭インタビュー」と「地方ロケ」を組み合わせている。東京で拾った面白ネタを、地方で深掘りするパターンが定番。
法則3
夏は全国行脚
7-8月は地方ロケ率が最も高い。北海道、沖縄、東北——夏休みスペシャルとして全国各地を回る傾向が強い。逆に冬は首都圏中心。
法則4
COVIDが変えたロケ地選び
2020年の緊急事態宣言以降、東京集中が緩和。地方ロケの比率が上がり、「密」を避けた郊外や地方都市でのインタビューが増えた。この傾向はコロナ後も一部継続している。
法則5
リーセンシー効果
直近に訪れた場所は、数週間は再訪しない傾向が明確にある。北海道に3週連続で行くことはまずない。これにより、予測モデルのリーセンシーファクターが有効に機能する。
Methodology
データソース: thetv.jp(テレビ番組情報サイト)から「月曜から夜ふかし」の放送回データを取得。2016年6月〜2026年4月の399エピソードが対象。各回の番組説明文からロケ地情報をNLP(自然言語処理)で抽出した。
ジオコーディング: 抽出された地名は、OpenStreetMap Nominatim APIを使用して緯度経度に変換。都道府県名、市区町村名、駅名、ランドマーク名など、複数の粒度の地名を処理した。
人口統計データ: e-Stat(政府統計ポータル)の国勢調査データを使用。人口、面積、平均年齢、昼夜間人口比、外国人比率、所得水準を各ロケ地に紐付けた。
制限事項: (1) データは2016年以降のみ(番組開始の2012年からのデータは未取得)。(2) NLP抽出のため、一部のロケ地は検出漏れの可能性がある。(3) 番組説明文に記載のない「隠れロケ地」は含まれない。(4) 予測モデルは過去の統計パターンに基づくもので、番組制作の意図や時事的要因は考慮していない。
処理: スクレイピング、NLP抽出、ジオコーディング、人口統計紐付け、予測モデル構築の全工程をPythonスクリプトで実装。フロントエンドはAstro + React + D3.js + Mapbox GL JSで構築。
ソースリンク: